確実に存在した「安倍マーケティング」―7年8ヶ月の毒と華

どうも、英司です。
猛暑から一転、すっかり秋めいて来た最近ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

少し波に乗り遅れた感がありますが、8月末の安倍総理の突然の辞任には本当に驚きました。
同時に、今思い返してもこの7年8ヶ月は私も見たことも経験したこともない光景や出来事をたくさん目にしたと思います。今日はそのあたりの私の考えについて解説していきたいと思います。

反アベも親安倍もとにかく強烈だった7年8ヶ月

私の物心がついた時の日本はすでにバブル崩壊後の不景気に突入しており、記憶があるのが宮沢さんあたりの頃からで、それから小泉政権と第二次安倍政権の時以外はずっと1年~2年くらいの短命政権を繰り返していました。

小泉さん以降なんかはさすがに私も大学生や社会人だったのである程度総理大臣の顔と名前、主要な政策くらいまではおおよそ把握していますが、正直言ってそれより前の総理大臣は顔と名前が一致するかも怪しく、就任した順番も自信がありません。ましてや、主要な政策なんてまったくわかりません(笑)

ただ一つ言えるのは、そのどの時代もこの7年8ヶ月間のように自国の総理大臣に対して「反」と「親」とがハッキリと別れて、激しくバトルしていたような時代はなかったということです(インターネットやSNSの有無も関係しているかもしれませんが、そのあたりはまた別の機会に論じるとして)。

安倍さんの何がそんなに人心をザワつかせたのか

安倍さんは(その是非にはいろいろな考えがあるとしても)明確な「国家観」を持った稀有な総理大臣だったと思います。特に、地政学に基づいた戦略的な外交にその一端がよく現れていたと思います。

この安倍さんが信じる「国家観」が、ある人には忌まわしいものに感じ、またある人には熱狂的に支持したくなるものに映ったのでしょう。

この8年、マスコミを騒がせて来たのは安倍さんという1人の政治家を軸に、それを100%間違っていると攻撃する人と、100%正しいと盲信する人の両極端の人々でした。

一見すると政治に関心のある国民が増えて良いことのようにも思えますが、私はこれには大きな弊害も伴っていたと思います。

政治家やマスコミにとって、世論の支持を得るのが最も簡単だった7年8ヶ月

マスコミや政治家にとって、この7年8ヶ月はかつてないほどに「ラク」な期間だったのではないでしょうか。

どういうことかと言うと、安倍さんという明確な国家観を持った個性の強い人が総理大臣になったことにより、それを生理的なレベルで忌み嫌う人と、盲目的に礼賛する人との2つの大きなグループができました。

これらのグループを「マーケット」と捉えた時、本来安倍さんが注力していた金融政策や外交政策などの専門性が高く、検証や分析に時間・知識・手間が必要なことなど無視して、「アベのやることだから全部悪事に違いない」と言った調子で批判していれば一定の支持を得ることができ、逆に「あの安倍さんがやることだから素晴らしいに違いない」と礼賛しておけば一定の支持が得られる、そんな有様だったように思います。

金融に関しても外交に関しても、ひとつひとつの政策や事象をきめ細かに検証し、愚直に「是々非々」で意見を発信していた人、つまり最も知的コストをかけている人の声が隅に追いやられてしまっていた7年8ヶ月だったようにも思います。

「反アベ」「親安倍」だけで政治家になった人たちにもう居場所はない

こういう世相を反映して、とにかく「反アベ」を一丁目一番地として、アベ政治をキツイ言葉で全否定するだけで当選した野党議員はたくさんいます。
一方で、何を聞かれても「安倍総理は素晴らしい」と主張し、威勢の良い言葉で隣国を挑発するようなパフォーマンスだけで当選してしまった与党議員もたくさんいます。

彼らはこの約8年間、何かを生み出して来たでしょうか。ちゃんと自分の頭で考え、自分の責任で物事を判断し、信念を持って国民のために働いて来たのでしょうか。

このように反アベ、親安倍をやっているだけで新聞や雑誌が売れ、視聴率やアクセス数が稼げ、挙句の果てに政治家にまでなれてしまうというこの7年8ヶ月を通して、メディアも国会も大幅に劣化したのではないかと一日本国民として感じているところです。

先日ラジオを聴いていたところ、親安倍の筆頭格であったある与党議員の方がゲストとして呼ばれていました。その番組は時々議員さんをゲストとして迎えることがあるのですが、特に与党の代議士ともなれば多忙であるため、せいぜい15分~30分程度、一コーナーだけに出演して司会者と議論をかわすといった程度です。

しかしその議員さんは番組のスタートから終了までの約2時間すべてに出演していました。党内では自民党総裁選の真っ最中、それ以外にもコロナ対策もあって、加えてもう何ヶ月も連続で日本の近海で中国の船による不穏な動きが確認されている中にあって、その責任を与る与党議員が司会者やコメンテーターと一緒になって他人事のように自党の批判をしており、肝心の自民党総裁選について司会者に話を振られても、誤魔化して関係のない話を始めるなど、聞くに堪えない内容でした。

恐らく彼は、安倍さんが辞任表明をしたその瞬間からもう党内では閑職に追いやられ、早くも司会者が本当に聞きたかった総裁選の最前線の情報などにはアクセスできない立場になってしまっていたのでしょう。

今後、「反」にも「親」にもこのような議員が大量に出てくるものと思われます。

また新しく始めれば良い

本日(2020年9月16日)、前官房長官である菅義偉さんを首班とした新しい内閣が誕生しました。

菅さんは総理総裁としての任期も約1年。衆議院議員も任期満了まであと約1年ちょっとです。つまりどんなに遅くてもあと1年以内に総選挙が実施されます。

もう反アベ、親安倍だけで政治家になった人には全員ご退場いただいて、今度の選挙では苦戦が予測される自民党にあってもなんとか勝ち残って来た人たちと、野党分裂状態にあっても競り勝って来た人たちとで、また新しく議会を始めれば良いと思います。

今日から始まる新たな時代も、どうか良い日々であることを一日本国民として心から願っています。