就活なんて怖くない!若いゲイの皆さんへ

段々と秋も深まって来た最近ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。筆者は芸術の秋ということで、美術館めぐりを…なんてカッコイイことを書きたいのですが、実際には食欲の秋全開で、さすがにこれだけ食べていたらヤバイということでジムに行く回数を増やしてなんとかしている始末です(笑)

 

2017年入社組が内定式を終えて

 

世の卒業を控えた学生さんの多くは、10月と言えば内定式が行われるシーズンかと思います。半年後から始まる社会人生活には期待と不安を感じていることでしょう。

 

また、そのひとつ下の学年の皆さんは、いよいよ次は自分たちの番という実感も湧いてきて、少しずつ就活というものを意識し始める時かもしれません。

 

今回は、そんな若いゲイの皆さんに、まかりなりにも社会人生活が来年で10年目になる筆者からエールを込めたメッセージを贈りたいと思います。筆者自身、とてもじゃないけど皆さんのお手本になるような社会人生活を送って来たわけではありませんが(笑)、だからこそ等身大の大人の一人として、今回の記事を少しでも参考にしていただければと思います。

乱立し始めた「LGBT専用」就職・転職サービス

 

最近、LGBTを対象とした就職・転職サービスが雨後の筍のように乱立して来ています。皆さんの中でもネット上でそのような広告を目にしたという方も多いのではないでしょうか。

 

「ゲイであることで差別を受けるのでは?」と不安に思っている人には、ありがたいサービスと感じることでしょう。実際、LGBTの中でもトランスジェンダーの方は見た目と戸籍上の性別が違うため、年金手帳や住民票を提出した時や、入社後のトイレの使用に関することでの混乱を避けるために役立ちますし、このようなサービスはトランスジェンダーの求職者、採用する企業側の双方にとって必要なサービスと言えるでしょう。

 

LGBTフレンドリーかどうかにとらわれて選択肢を狭めないで

 

こうしたエージェントに求人を出す会社は、当然、LGBTフレンドリーを宣言している会社ということになるでしょう。他、新卒での就職を目指す学生さんたちは、LGBTフレンドリー宣言をしている会社は魅力的に映るかもしれません。

 

しかし、トランスジェンダーを除いて、特にゲイの場合、筆者は就職する先の企業がLGBTフレンドリーかどうかは、あまり気にしなくて良いと思います。

 

むしろ、就職活動や転職活動のゴールが「LGBTフレンドリーな企業に就職すること」になってしまうと、せっかくの職業選択のチャンスなのに、選択肢を自分から狭めてしまうことにもなってしまうと考えています。

 

仕事や職務遂行能力に性的指向は無関係

 

以前、ある経済誌で「LGBTは通常の人よりも優秀で、理解を示さない企業側は深刻な人材流出に気付くべきだ」という非科学的で、優生思想にも繋がるような記事が出されたこともありました。

 

もちろん、LGBTだからと言って職場で差別をする人は許されませんが、上記のように本来職務遂行能力に無関係なセクシュアリティというものを、あたかもそれと深く関係があるかのように論じる記事もまた、LGBTを差別する人たちと同罪なのではないかと筆者は考えます。

 

22歳から社会人生活を約10年送り、転職も経験し、違った社風の会社での就業を体験している筆者から言って、ゲイだからと言って、仕事上で露骨な差別をする人に筆者は会ったことがありません。

 

これは筆者が偶々恵まれた環境にいたからだと言われればそれまでで、世の中にまったく存在しないとも言い切れません。個別各論的には、ゲイへの差別を露骨にする上司などもいるかもしれません。しかし、一般的、総論的に言って、そこまで神経質になるべき問題ではないと考えています。

 

LGBTフレンドリー宣言をしている会社に勤められなくても

 

時々、「自分はLGBTフレンドリー宣言をしている企業にしか行きたくない」と言って聞かない就活生の子などを見ることもあります。

 

それはそれでひとつの選択の指標ですが、公にLGBTフレンドリー宣言を行って採用活動を行っている会社は、一体何社あるでしょうか。筆者の知る限り、日系企業、外資系企業含めても10社~20社程度と言った感じでしょうか。それに、業界業種もバラバラで、特定の志望業界がある場合はその業界の中で1社か2社あるかないか、ということになります。一方、2017年卒の学生さんには、合計で約73万人分に相当する求人が出ていました(※出典:リクルートワークス研究所 大卒求人倍率調査より)。

 

これだけさまざまな会社の、さまざまな仕事を選べる立場にいるのに、LGBTフレンドリーかどうかにとらわれて自分から選択の幅を狭めてしまうのは残念なことです。

 

逆に言えば、「LGBTフレンドリー宣言」を行っている企業に入れなかったら、もうゲイとしての社会人生活は絶望的になってしまうのでしょうか。その答えはもちろんNOです。

 

結局、自分の居場所は自分で作るもの

 

筆者も会社ではゲイバレしていますし、筆者の友人たちの中でも、職場でカミングアウトをしている人はたくさんいます。

 

しかし筆者を含め私たちは決して、公にゲイフレンドリー宣言をしている一部の企業に勤めているわけではありません。入社するときに「LGBT」枠があったわけでも、筆者らが「LGBTだから」採用されたわけでもありません。

 

新卒で入社した人であれば人柄や学生時代の経験、中途で入った人であればその経歴や職務遂行能力によって採用されたまでで、そこにセクシュアリティは無関係で、もちろん面接の場でカミングアウトもしていません。

 

それはカミングアウト「できなかった」のではなく、面接という職務遂行能力を審査される場で、それとは無関係なセクシュアリティというプライベートな属性を「わざわざ言う必要がなかった」からです。

 

会社というのは良い意味でドライな社会でもあり、会社に必要な仕事を毎日真面目にきちんとこなし、自分が抜けると周りが困る、という存在にさえなれば、社員がゲイであろうと何者であろうと会社としては関係のないことで、そんなつまらないことで差別などされる心配などほとんどないでしょう。

 

だから、第一に自分の好きな仕事を見つけること。熱中できる仕事に出会えること。オジサン的にはこれこそ、若い人たちに仕事探しの指標にして欲しいことだな、と思っています。

 

好きな仕事であれば熱中できます。熱中できればその仕事がどんどん上達して行きます。上達して行けば周りからも一目置かれ、自分の代わりが勤まるような単純な仕事は減って行き、自分にしかできない高度な判断が必要となる仕事がどんどん増えていきます。

 

そうなった時に、あなたをゲイだからと言って差別をするような上司や先輩などいるでしょうか?もう答えはわかっていますね。

 

そういう存在になれれば、最初からLGBTとして決まった形の居場所が用意されている会社よりも、ずっと自分の形にフィットした、居心地の良い居場所がその会社にできていることに気付くでしょう。

 

抜けると困る存在なのに、ゲイだからと言って差別や罵倒をしてくるような上司や先輩がいる会社は、きっと他の基本的属性(女だから、独身だから等)の人にも同じように罵声を浴びせているブラック企業だと思うので、身体を壊さないうちに辞めましょう。世の中健康を害してまでやるべき仕事などありませんし、時に「逃げる」という行為こそが正しい選択になるときもあるのです。

 

どんな会社でもゲイフレンドリーな職場になりえる

 

結局のところ、最初からLGBTフレンドリーを謳う会社だけが、ゲイにとって働きやすい会社というわけではない、ということです。むしろ会社生活というのは、自分の振る舞いや努力によってどんな場所にでも自分の居場所を作ることができる社会です。

 

だからこそ、若い皆さんにはどうか物怖じせず、与えられた無数の選択肢を無駄にせず、ゲイであること以前に働く人のひとりとして熱中できる仕事を探して欲しいと思います。

 

ゲイフレンドリーな会社に勤めているわけでも、エリートでも一流でもない筆者ですが、これだけは自信を持って断言できます。

 

「社会人生活は楽しい!学生のときよりも楽しい!!」

 

なので、来年入社の皆さんはLGBTフレンドリー宣言をしていない会社への就職が決まったからと言って不安になる必要もありませんし、これから就職活動・転職活動を始める方は、どうか安心して好きな仕事を探し、熱中できる仕事を追求していってください。