世界エイズデーに寄せて-HIV予防・啓発活動が抱える難しさ-

 

どうも、英司です。本日12月1日は世界エイズデーです。私は医療の専門家ではないため医学的な話はできませんが、HIVとゲイの世界は切っても切れない関係と言えるので、カミングアウトをした上でブログをやっている以上、この話題に触れておこうと思いました。

 

HIVの予防・啓発が難しい理由を整理

 

HIVに関しては、官民問わず啓発を促す情報が大量に発信されていますが、啓発の方法に関して非常に難しさを抱えた問題であると、以前から思っていました。今回は、本職で広報PRやWEBマーケティングの仕事をしている1人の社会人という視点から、この問題を読み解いて行きたいと思います。

 

一旦ここでHIVに関する啓発情報に関して、ひとつひとつ整理して行きましょう。

 

「HIVは死の病ではない」という観点の表現

 

これは事実です。早期発見と適切な治療を早く始められれば、多くの人が平均寿命をまっとうできるほどに医療は発達しました。昔は何種類もの薬を1日に複数回飲まなくてはならず、非常に負担が大きかった時代もあったと聞いていますが、最近では薬の研究開発も進み、1日1回、1錠で済む抗HIV薬も実用化されました。

 

もはや、感染をしてしまっても、感染する前とほぼ変わらない社会生活を送ることができると言って良いでしょう。

 

こうした啓発は、根強く残るHIV感染者に対する差別・偏見を解消し、感染してしまった人に対しても、不安感を取り除く狙いがあって発信されている情報かと予測できます。また、もう死の病ではないので恐れずにもっと気軽に検査に行って欲しいという狙いもあるのかもしれません。

 

一方で、少し方法を間違えれば「感染しても大丈夫」という安易な解釈がされかねない観点でもあり、情報の発信側もこの観点でなかなか思い切った広報ができないという難しさを抱えながらやっているのではないかと思います。

 

恐怖心を煽る表現

 

一昔前のHIV予防啓発系の広告にはよく見られましたが、こうした表現は、最近は控えめになっているなと感じます。これは既に感染した方々への配慮もありますし、上記のように実際にもう死の病ではなくなったわけですから、いたずらに誇張した情報によって恐怖心を煽るのは好ましくないでしょう。

しかし、「一人でも多くの人に検査に行ってもらう」という目的達成のためには、やはりこうした表現が有効な面もあります。ただ、一方で既に感染した人を傷つけたり、感染者への差別・偏見の助長にも繋がったりするため、私もこうした表現はあまり強調するべきではないと思います。

 

ただ、検査場へ促すためにはこうした要素も必要であり、どれくらいの力加減でこうした表現を取り入れていくのか、非常に難しい思いをしながら情報を発信しているのではないか、と、本当に心労をお察しします。

 

HIV感染/エイズ=ゲイの病気という表現

 

こちらもどれくらいのニュアンスで表現するか、本当に難しい舵切りを求められつつ、啓発活動を行っているのではないかと思います。

 

しかし事実として、性交渉による感染のうち男性同士の同性間の性交渉(主にアナルセックス)によるリスクは最も高く、そのリスクは異性間の感染率の5倍強と言われています。

 

そのため、当然感染者のうち男性同性愛者(ゲイ)の比率も高く、HIVに関する予防・啓発活動は、私たち男性同性愛者に対して行うことは非常に有効だと思います。

 

一方で、HIV感染者には当然、異性愛者もおり、その中には血液製剤によって感染した方、母子感染によって感染した方など、性交渉を介さないで感染してしまった方もおり、あまりに「同性間の性交渉」にスポットを当てた表現もなかなかできない側面があるのではないかと思います。

 

そうした背景もあり、こちらも表現に対する難しさを抱えているのではないかと思います。

 

ターゲティングの難しさにより表現が複雑化

 

広報やマーケティングにおいて「ターゲティング」は最も重要で、ターゲットのペルソナを明確に定められれば、もう半分は仕事が終わったとも言われるほど重要視されています。

 

私が勤める会社のように利益を追求する一般企業であれば、商品やサービスの利用者のターゲティングは比較的しすいですね。しかしHIVの予防・啓発や検査へ促す広報というのは重要な社会福祉であって、上記のような様々な人に配慮した表現が求められます。

 

その結果、どこかの観点に振り切った表現ができず、非常に限られた枠の中でなんとか目的を達成しなくてはならず、本当に苦労が多いのではないかと感じます。

 

結局のところ「検査は大事」としか言えない

 

私は職業柄、こうした視点で予防・啓発活動の難しさを見ていました。何度も申し訳ないですが、本当に考えれば考えるほど「難しい」です。

 

ただ、表現方法の違いはあれ、とにかく「検査は大事」という主張だけは一致しています。

 

誤解が多いようですが、HIVは投薬を開始すればウィルスは検出限界未満となり、この検出限界未満が続いているHIV陽性者は、陰性者のセックス相手にHIVを感染させる可能性は非常に低く、ほぼゼロに近いとされています。これはJAMA(米国医師会誌)に掲載された研究論文にて発表されたものですので、信用に足る情報です(だからと行って「ゼロ」ではないので、アナルセックスの際は必ずコンドームを付けましょう)。

 

つまり、一人でも多くの人が検査に行き、一日も早く気付いて投薬を始めることによって抑えられるHIV感染リスクは、計り知れないものなのです。

 

本日12月1日、世界エイズデーということで、少しこの問題に関して考えてみました。

 

これをきっかけに、ぜひ検査へ行ってみることをお勧めします。検査ができる医療機関は、下記サイトにて検索できます。

 

HIV検査相談マップ

 

また、東京近郊にお住まいの方は、南新宿の保健所であれば無料で検査を受けることができます。スマホから予約が取れたり、夜間や土日もオープンしていたりと、本当に気軽に検査に行ける取り組みをされています。私も何度か利用しましたが、医師の方も非常に親切でした。

 

東京都 南新宿検査・相談室

 

あまり重くとらえず、気構えず、ぜひ気軽に足を運んでみてください。