私が日本も移民を受け入れるべきと考える理由

社会
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どうも、英司です。
今回は少し社会ネタでも。

 

人口減少社会が行き着く先

 

以前、自身も男性同性愛者であり、保守系のブロガーとして有名な「ジャックの談話室」を運営するジャックさんも、日本も移民を受け入れるべき、との提言をご自身のブログで発表されていました。

 

日本はやはり移民を受け入れる必要があるのではないか

 

便乗するようで申し訳ありませんが、私も移民受け入れには概ね賛成の立場です。

 

最近、大前研一さんの「低欲望社会 『大志なき時代』の新・国富論」という本を古本屋で見つけて購入し、読み始めました。

低欲望社会 「大志なき時代」の新・国富論

 

著書内容は割愛しますが、大手コンサルティング会社・マッキンゼー・アンド・カンパニーの日本支社長まで上りつめた大前さんらしく、様々なデータからアベノミクスの矛盾を指摘しつつ、日本の現状と未来への提言を行っています。

 

大前さんも、少子高齢化を放置した先に待っている未来に対する危機感を相当持っているようです。

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日本が人口(≒国力)を維持するのに必要なこと

 

2017年現在、日本の合計特殊出生率は1.44とされています。人口維持のために理想的とされる数値は2.07ですので、現状この数値には遠く及びません。

 

現在、政府もようやく保育園の整備、現場の待遇改善に動き始めましたが、こうした政策の効果が出るのには時間もかかりますし、一気に値が1.5倍になるような、劇的なものではないでしょう。

 

人口が減る=税収の低下ということですから、公共事業は減少し、高齢化によって社会福祉の負担が増えることになります。

 

税金を使って公共事業を行う場合は、道路や建物を造ることで原材料を扱う会社、施工をする会社、設計をする会社等に仕事ができ、工事のために訪れる人が地元でお金を落とし、道路なり建物ができた後は利便性も高まるわけですから、地元経済が活性化され、次年度以降の税収の増加が期待できるものですが、福祉にかけるお金は基本的に公共事業に比べてバックが期待できません。


また、人口が減るということは市場としての価値も減少していくわけですから、グローバル企業のサービスや商品の日本進出は見送られ、更に消費が低迷し、負のスパイラルに入って行きます。

 

つまり、市場から活気がなくなり税収は減るのに、医療費、福祉費と言った支出は増え続けるという構造になって行き、このままでは日本経済は衰退の道をたどるのは既定路線となってしまっている現状があります。

 

これをなんとかするためには、もう大増税か労働力としての移民の受け入れしかないのではと思います。

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ただ、大前さんの分析によると大増税などと言っても消費税を10%にするくらいでは足りないそうです。北欧並みの25%以上は必要で、所得税も60%程度という、信じられないような大増税が必要とのこと。これまで長きに渡り「中負担、中福祉」をベースとした経済成長路線を取って来た日本としては、なかなか国民の理解を得られないと思います。

 

そうなると、やはり移民労働者の受け入れを検討するしかないのではないかと思います。

 

先端技術開発は日米合戦から米中合戦へ

 

少し世界経済と先端技術開発の国際競走に目を向けてみましょう。

 

現在、かつては日米で熾烈な争いを演じてきた先端技術の開発合戦は、既に「米中合戦」になりつつあります。

 

数年前まで米国3D Robotics社と中国DJI社がドローン分野で熾烈なシェア争いでほぼ互角な争いを展開していましたが、高性能高価格の3D Robotics社のドローンに比べ高性能低価格なDJI社のドローンは次第に3D Robotics社の市場を駆逐し、ついに世界シェア1位に躍り出ました。

 

その後、DJI社以外にも中国国内で有力な企業は次々と現れ、現在世界で飛んでいるドローンの7割以上が中国製のドローンです。

 

また、現在スマホ業界で世界シェア1位の韓国製スマホに対し、iPhoneを武器とする米国Apple社と、中国のHUAWEI社が熾烈な2位争いを演じている状態です。Apple社はiPhoneを発表して既に10年が経過し、それなりに顧客を獲得したため市場占有率の伸びが鈍いのに対し、高性能スマホへの参入が比較的遅かったHUAWEIは現在もかなりの勢いでシェアを伸ばしており、2018年~2020年にはAppleを抜き世界シェア2位を獲得するのではないかと言われています。

 

さらに、韓国製スマホは国内有力企業がSamsungのみ、米国製スマホはAppleのみなのに対し、中国はHUAWEI以外にもOPPO、小米(シャオミ)、ZTE、Vivoなど、世界的人気機種を開発している企業が複数あり、それに中華圏に視点を広げると台湾のASUS、香港のLenovoなどの有力企業も多数存在し、「中華スマホ」がSamsungも抜いて1位に躍り出るのも時間の問題とされています。

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余談ですが、私も今年の夏、2009年に発表された3GSから長年使用してきたiPhoneをついに手放しました。4GS、5GSと、Sが出る度に買い替えてきたので一大決心でした。

 

私は今年初めに大手キャリアを解約し、格安SIMに変えました。大手キャリアの場合2年間の使用を約束することで本体代が割引になったり、スマホ代金が月々の使用料に分割されていたりするため、高額なiPhoneの定価もよく知らずに使用していた節がありましたが、格安SIMの場合自分でスマホを選ぶことになります。

 

これまでほぼ自動的にiPhoneの最新機種を購入してきた私も、初めてきちんとiPhoneの定価とスペックを調べながら他社製品と比較することとなりましたが、中華スマホが席巻する昨今において、iPhoneは決してコスパが良い商品とは言えなくなってしまっていました。

 

少し前までは中華スマホと言えば量産型の廉価品のイメージでしたが、iPhoneと同レベル、もしくはそれ以上の性能を持ったハイエンド機種への参入が進んだ結果、iPhone並みの性能の機種がiPhoneの半額以下で市場に出回っている状態です。

 

私が現在使用しているHUAWEI P9も、iPhone7 Plusに対抗する機種として発売されほぼスペックに差はないものの、iPhone7 Plusが約12万円なのに対し、HUAWEI P9は定価でも5万円を切っています。

 

今後日本でも、かつて大手キャリアが勧めるのでなんとなくiPhoneを買っていた私のような層の人たちが、格安SIMへの乗り換えを機に中華スマホへ乗り換える流れは強まることが考えられます。

 

一方、日本製のスマホはと言うと、かつて世界にその名を轟かせた名だたる大企業が、2万円以下の廉価なスマホを国内格安SIMの会社と組んで投げ売り状態。世界を見ても、SONYのXperiaが少し頑張っているくらいです。

 

日本がハイエンドモデルを、中国が廉価版の量産型モデルを、というかつての家電業界での棲み分けはついに一部の領域で逆転し始めた、ということです。

 

もはや、先端技術であるドローンも高性能スマホも、日本は完全に蚊帳の外状態…。大変悲しいことですが、これもひとつの現実として受け入れる必要があります。

 

しかし、まだまだ日本は「ボーナスタイム」

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とは言え、自動車や白物家電を中心に、まだまだ世界では「日本製」の高い信頼性は維持しています。加えて最近はアニメや漫画等のカルチャーを通して日本のファンが増えたことで、日本という国への憧れも、なんとか保っています。

 

しかし、今のまま何も手を打たなかったら、この「ブランド力」も時間とともに次第に薄れて行くでしょう。

 

「移民受け入れを検討」と言っていられるのも実は今のうちで、移民側にも国を選ぶ権利があります(特に優秀な人)。幸いにして日本は現在でもアジアの中で、最も成熟した民主主義制度を持ち、高度に自由が保証された豊かな国と認識されています。

 

つまり、日本が留学先や技術系分野の研究開発拠点先として、魅力をまだなんとか保っている状態なのではないでしょうか。

 

この「魅力」が減っていけば行くほど、特に優秀な移民労働者は就労先として、米国、もしくは中国への移住を検討するようになって行くでしょう。

 

要するに、完全に国力もブランド力も落ちきって初めて移民労働者の受け入れで市場を刺激しようとしても遅いのではないでしょうか。そうなると、納税額も限られ、下手をすれば日本国内で生活保護を受けるような水準の単純労働者の移民ばかりが集まるようになり、大志を抱いて日本を選んで来るような高付加価値労働者を集めるのは、もう困難になってしまうような気がします。

 

ジャックさんもご自身のブログの中で仰っていたように、このままなし崩し的に不法滞在等の単純労働者に就労を認めて行くという方向性で移民受け入れが進んでしまうと、受け入れのデメリットばかりが大きくなってしまいます。

 

そのためにも、まだ世界的に「日本ブランド」が通用するうちに、東欧やアジアから高付加価値労働者を集めるという「移民の戦略的受け入れ」の議論をそろそろ始めても良いのではないでしょうか。

 

これらを実現するためには、労働ビザの緩和だけでなく、その条件に日本文化や生活様式に関するレクチャーの受講を入れるとか、これまで血統主義を採って来た日本国籍の取得条件を米国のように出生地主義にするとか、異にイメージの悪い日本の労働市場の改革(今やっている働き方改革)等を進めるとか、かなりの領域のことを一体で進めていく必要があると思います。

 

貧しくなんてなりたくない!!

 

前に、上野千鶴子さんがあるインタビューで、「これから日本はみんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい」なんて仰っていたようです。

 

他、2014年に都知事選に出馬した細川護煕元首相も「脱成長」なんてことを言っていました。

 

ふざけるな!

 

と、ひとこと言わせてもらいたいです。

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彼ら彼女らは日本の高度経済成長期に若者時代を過ごし、バブル期に壮年期を迎え、まさに日本が上り坂で成長を続けていた時代を生きてきた人たちです。

 

もう自分たちも先が長くないからなのか、随分と無責任な発言だなと思います。私には、自分たちは散々活気ある世の中を楽しんで来て、今の現役世代や若者には貧しくても我慢しろと言っているようにしか聞こえませんでしたし、大変不愉快でした。

 

私と同年代の人の中にも、もう成長なんていい、もっとまったり緩やかに過ごしたいという人もいますし、それはそういうひとつの生き方として尊重されるべきでしょう。

 

しかし、上記の方々のように世の中全体の成長を否定する、特に先端技術開発を軽視するような論調には賛同しかねます。

 

また、私も日本の現状をあまり悪く言いたくはありません。ただ、昨今の日本を礼賛するテレビ番組や書籍ばかりが人気が出る風潮にも疑問を持っています。もちろん、日本の文化やセンスはもっと世界に評価されるべきで、国民自身ももっと自信を持って良いと思います。

 

しかし一方で、労働条件や一部の先端技術と言った分野では中華圏に遅れを取っているという事実から目を背けるべきでないとも考えています。

 

日本がこのまま豊かで、世界の中でも重要な役割を担い続ける国でいるためにも「移民の戦略的受け入れ」という観点の議論がそろそろ始まっても良いのかな、と思います。

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